Día 3. 運命の織物との出会い

2013年4月13日。織物で有名な村を訪れた。

民族衣装

3日間しかないアンティグア滞在中、どうしても行きたい近郊の村がふたつあった。まずはそのひとつ、San Antonio Aguas Calientes(サンアントニオ・アグアス・カリエンテス)について。

グアテマラには、マヤ文明を引き継ぐ先住民が今でも多く暮らしている。特に興味深いのがその民族衣装で、とても美しい衣装を日常的に身につけている。この村、サンアントニオ・アグアス・カリエンテスは民族衣装の織物の技術に秀でているとのことで、美しい布やパターンに目がない私はぜひ行ってみたかった。


▷代表的なグアテマラの民族衣装(女性物が多い)

ここを最初に訪れたのが、アンティグア滞在2日目…つまりグアテマラに来て、まだ2日目だった。途上国に来るのが初めてなので、最初は本当に多くのことに戸惑ってしまった。「地球の歩き方」に書いてある情報もかなりアテにならない!なにもかもが「ゆるい」ので、自分の足で歩いて人に聞いて体験して、ようやくわかるようになっていった。

地球の歩き方 B20 中米 2018-2019 【分冊】 1 グアテマラ 中米分冊版

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▷…とは言えないと困る、地球の歩き方。

難関の「チキンバス」

ガイドブックを頼りにバス乗り場には辿り着けたものの、おびただしい数のバスが並び、どこに行き先が書いてあるかもわからない。もちろん、(日本では常識の)ターミナルのマップも時刻表も路線図もなく、看板一つ立っていなかった


▷派手なバスは、アメリカのスクールバスのお下がりだという


▷バスを待つ人たち。ここが「バス停」ということになる


結果わかったのは、バス前方に派手に書いてある行き先をひとつひとつ見て探す、ということ。今回の場合は「San Antonio」と書いてある。もしくは、たいていはそばで「サンアントニオ〜サンアントニオ〜」と少年が叫んでいるので、それを頼りに探すことも。

ある程度人が乗るとバスは出発する。たぶん、発車時刻は決まっていないのだ。ところどころで人をピックアップし、なんとなくの時点でお金を回収しに少年が回ってくる。今回はQ3.5を渡した(Q=ケツァール、グアテマラの通貨。当時は1Q=13円ぐらい)。

これは通称「チキンバス」と呼ばるもので、現地の人の足になっている。その由来は「鶏を乗せるかのようにギュウギュウ詰め」だから、とか。大きさは日本の路線バスより小さい。利用者は現地の人ばかりで、観光客は私一人という場合が多かったけれど、お金を回収される時にもぼったくられなかったし、滞在中に危険な目にあったことはない(…とは言えチキンバスで事件が起きるのは事実なので用心はしていた)。

いざ、織物売り場へ


▷バスを降りるとこんな広場に出る

バスを降りてすぐだったと思う。サンアントニオの中心付近に大きめの建物があり、個人の織物屋がいくつも入っている。客引きがすごくて、店を出ようとしたら

じゃあいくらなら買うのよ!

となってしまい、毎回大変だった。(追記。後からわかったことだが、今思えばこれはグアテマラの日常茶飯事なので、遠慮無く断って大丈夫)


いくつか見たうちひとつの店で、小さい織物を買った。青色ベースの色合いが気に入って、値段もまぁまぁ(Q300=当時3900円)だったので買ってしまった。今思えばグアテマラの物価からするとけっこう高額の部類である。でも、鳥と花が織り込まれていて、裏表のない模様が美しい。


さて帰ろうかな…というところで、2階の階段近くの店のおばさんに引き止められる。彼女が身に着けていたウィピル(=民族衣装)が他の人より輝いて見えてしまって、思わず自分から店へ…(注:元来私は金遣いが荒いほうである)。

この女性、名前はアナさんという。背が小さくちょっと…いやかなり丸い体形(グアテマラの女性はだいたいそうなんだけど)。

彼女は素晴らしい技術を持っているようで、織物の色味や感触が他の売り場やアンティグアにある土産物とはひと味違う。

私は、とある大きなウィピルに一目惚れした。黒地に淡いグリーンを基調とした柄がおしゃれ!値段を聞くと…まけてまけて、Q700とのこと(ちなみに当時グアテマラの安宿は、Q40出せば素泊まりで一泊できた)。そんなに手持ちはないから諦めようと、思ったのだけれど…。


(Apr. 14, 2013)

▽翌日に続きます。